旅女な歴女

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映画語り - 「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」

先日ハノイから香港へ日帰り出張をしました笑
 
しかも香港からの帰りはハノイへの直行便が取れず、飛び越えてホーチミン経由笑笑 
飛行機滞在時間だけ考えると日本帰れます...
 
鬼のようなスケジュールとはいえ、機内では自由時間!
キャセイパシフィック航空の映画のラインナップを見たら、なんと!
 
 

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今年のアカデミー賞では、メイクアップ&ヘアスタイリング賞は、この映画で主演のゲイリー・オールドマンの特殊メイクを担当された日本人の辻一弘さんが受賞されました。
 
鑑賞後、ウィンストン・チャーチルと、その時代のイギリスはどういった時代だったのか改めて勉強し直しました。
 

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ウィンストン・チャーチルは第一次世界大戦中、英国の海軍大臣、軍需大臣として戦争を指導、第二次世界大戦中は1940年から首相として1945年まで戦争を主導しました。
 
パッと見輝かしい経歴のように感じますが、実は多くの戦いで惨敗を重ねています。
 
第一次世界大戦中は、ベルギーのアントワープ防衛、ガリポリ上陸作戦に惨敗し、大臣を辞任しました。
 
ロイド・ジョージ内閣で軍需大臣として再入閣し、第一次世界大戦後は戦争大臣と航空大臣に就任します。
 
ロシア革命後は植民地大臣として、イラク・パレスチナ政策、ユダヤ人のパレスチナ移民政策を進めました。
 
ナチス・ドイツが台頭してきてからチャーチルは、徹底的にナチスとの融和に反対します。
 
第二次世界大勃発後は、海軍大臣として閣僚に復帰します。
 
ドイツがノルウェーとデンマークへの侵攻への戦いには惨敗しますが、この敗北の責任は首相のチェンバレンへと帰し、後任として1940年首相に就任します。
 
映画の「ウィンストン・チャーチル」はまさにここから描かれます。
 
チャーチル首相就任時は、度重なる敗戦や失策、強硬な姿勢で敵だらけでした。
 
そして、この映画は「ダンケルクの戦い」を知っていたら何倍も興味深い映画となるので、観ることを検討している方は是非2017年に日本で公開された「ダンケルク」を観てからの方がオススメです。
 
(併せて「英国王のスピーチ」を観ておくこともオススメします。ジョージ6世の喋り方が…)
 
首相に就任して直後、チャーチルは大きな決断を迫られることになります。
 
対独西部戦線の激戦地の一つ、フランスのダンケルクで英仏連合軍はドーバー海峡を背にし、ドイツ軍に迫ってこられており絶体絶命の危機に直面していました。
 
ダンケルクに取り残された兵士は英仏合わせて約35万人。
 
この兵士たちを救出するために、チャーチルは軍の輸送船のみならず、小型艇、駆逐艇、民間船(漁船、ヨット含む)などあらゆる船舶を総動員し、兵士を救出せよという指令を出します。
 
世に言う「ダイナモ作戦」です。
 
最終的に860隻の船舶が導入され、ダンケルクから兵士の救出に向かい、多くの兵士が故郷に帰ることができました。
 

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しかし、この作戦の成功の裏で、フランスのカレーに取り残されていたイギリス軍はドイツ軍の注意を引きつけるために救出されませんでした。
 
3万人の兵士の命も失い、戦車、火砲、トラックなど重装備を放棄せざるを得ず、以降イギリスは戦力不足に悩まされましたが、人的資源という国のために最も大切なものを守ることができました。
 
 
1941年に日本が大戦に参戦してから、イギリスは東方の植民地を相次いで失っていきます。
対ドイツ戦も敗北し、大英帝国の威信が軒並み下がり続け、インド、エジプトでは反英闘争が勃発します。
 
1944年、ノルマンディー上陸作戦の成功を経て、翌1945年ドイツは降伏します。
 
イギリスでは労働党の挙国一致内閣は解散し、チャーチルの保守党は総選挙で敗北し、チャーチルは首相から退くこととなります。
 
第二次世界大戦後、イギリスは多くの植民地を失い、大英帝国は崩壊しました。
 
1951年、チャーチルは首相に再任し、アメリカ、ソ連に続き原爆保有を実現し、東南アジア条約機構(SEATO)参加など反共政策にも努め、1955年政界から引退をしました。
 
 
 
ナチスドイツと融和政策を取ろうとする周囲に対し、揺らぎつつも断固として戦い続けることを貫いたチャーチルがいなかったら、今のイギリスはなかったかもしれない。
 
ダンケルクに取り残された兵士達はそのまま救出されず、命を落としていたかもしれない。
 
でも強力なリーダーも、裏では色々悩み、迷い、葛藤して、どういう言葉を選べば人に響くかと試行錯誤を繰り返している姿がとても印象的でした。
 
ところどころに笑ってしまうシーンもあります。
 
そして「自分は国民のことを何も知らない…!」と終盤に「ある行動」に出るところ。
ネタバレになってしまうので書きませんが、個人的にはすごくグッときて、涙をこらえてしまいました。
 
その場面からのラストシーン、最高です…!
鳥肌が立ったままエンディングを迎えました。
 
今年のアカデミー賞、この映画でゲイリー・オールドマンは主演男優賞を受賞しました。
納得、の一言です。
 
基本的に映画は邦画でない限り、英語と日本語字幕で観るのですが、残念ながら機内の上映はそんな選択肢はなく日本語吹き替えで観ました。
 
もちろん日本語でも最高に面白かったのですが、もう一度ゲイリー・オールドマンの「声」で観たいです。
 
日本では3月30日公開。ぜひ多くの人に観ていただきたいです。