旅女な歴女

ゆるめの歴女が旅して本読んで...

拝啓、レオナルド・ダ・ヴィンチ様 ー お宅訪問@Vinci

2018年2月13日から20日まで、ベトナムの旧正月休暇を利用してイタリアへ行きました。
今回の旅の大きなテーマの一つは、「レオナルド・ダ・ヴィンチを辿る」こと。
 
もう少し休みが長ければ、イタリア縦断!とかやってみたかったけど、じっくり美術館も回りたかったので、今回はミラノとフィレンツェの二都市に絞りました。
 
さて、皆さんには「死ぬまでにしたい100のこと(Bucket List)」はありますか?
私は今このBucket Listに書いている途中です。
 
 
たくさんやりたいことはあるはずなのに、いざ書き出してみるとなかなか書けず、私も今81個まで書きました。
 
その中で、今すでに確定しているBucket Listの「ダ・ヴィンチの生家」に行く。
これを今回実現させてきました。
 
フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ駅から国鉄に乗り、約30分かけてエンポリ駅へ。
天気は生憎の曇り空。
 
駅の売店でヴィンチ村までのバスのチケットを購入。
バスの待合室?のようなところで「ヴィンチ村まで行くバスは?」と聞いて、教えてもらった4番のバス停へ。
 

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もともと静かで小さいエンポリ駅周辺を離れると、あっという間に景色が変わり、ところどころにVinciと出てきて、いつ降りればいいのだろうとドキドキしていました笑
 
乗車時に「ヴィンチ村で降りたい」と運転手さんに伝えていたのを聞いていた乗客の一人が気を利かせてくれて、ヴィンチ村に着いたら教えてくれました…良かった。
 
でも冷静に見渡すと「ここで降りるしかないだろう」という場所でした。
おとぎ話に出てくる小さな王国の麓の町、っていう印象。
 

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ダ・ヴィンチの生家はヴィンチ村から更に30分ほど歩いた(軽いハイキング)アンキアーノというところにあります。
 
タクシーを使うこともできるけれど、美しいトスカーナ地方の森を楽しみながら歩いて行くのも非常に楽しいです。
 
時々道を間違えていないか不安になりますが、地味に道案内(矢印)が出ているので迷わず行かれます。
 
「ANCHIANO CASA NATALE DI LEONARDO」
 

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この標識が見えたらいよいよです。
 
少し見上げたら石造りのこじんまりとした家が現れます。
ここが人類史上最高の万能の天才、レオナルド・ダ・ヴィンチが生まれた家です。
 

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1452年、レオナルドは公証人のセル・ピエロと、農家の娘のカテリーナとの間に「非嫡出子」として生まれました。
彼の出生名は「レオナルド・ディ・セル・ピエロ・ダ・ヴィンチ」。つまり「ヴィンチ(出身)のセルの(息子)のレオナルド」ということになります。
 
実はレオナルドの幼少期はほとんど伝わっていないようです。
私が初めて読んだ「学習漫画 世界の伝記シリーズ」の中では、このアンキアーノの豊かな自然の中で生き物に興味を持ち、スケッチをする姿が描かれていました。
 
実際にこの地を訪れると曇っていても素晴らしい自然が広がっていて、自ずと生き物そのものに興味を持ち、後のダ・ヴィンチの絵の生き生きとした生命の表現や、スフマートといった独自の技法を生み出すことに繋がっていくということに納得できました。
 
16世紀の画家で、ルネサンス期の芸術家達の伝記『画家・彫刻家・建築家列伝」を執筆したジョルジョ・ヴァザーリは以下のエピソードを記しています。(上述の「世界の伝記シリーズ」にも描かれています)
 
ある日父親のセル・ピエロが近所の人から盾の装飾を頼まれたところ、息子のレオナルドに装飾を任せてみました。すると彼は盾に怪物(メデューサ?)の顔と周辺にはカエルやコオロギ、ヘビなどリアルに、かつグロテスクに、見事にそれらを描いたのです。(盾だから目の前の敵が怖がらないといけない、と…)
 
あまりの見事さに驚いた父は、本当の依頼主にはハートに矢の刺さった「買った」盾を渡し、息子が描いた盾はさらに高値で「見る目がある方に」買ってもらった…と。
 
私は飽くまで世界の伝記シリーズで読んだ話なので諸説あるでしょう。
ですが、この一件から父親は息子を芸術家の道に進ませることを決意するのでした。
 
お父様、心からありがとう!!!!
 
 
さて、肝心の御宅は小さい部屋が二部屋のみの、本当に本当に小さな家…
現代っ子としては「お風呂は!?トイレは!?台所は!?」といろんな意味でキョロキョロしてしまいました…
 
二つの部屋のうちの一部屋で、イタリア語と英語でダ・ヴィンチの生涯を語る映像が流れています。ダ・ヴィンチの生涯を多少知っていれば、内容把握は全く問題ないです。
 
この小さい家で、幼き頃の「万能の天才」は一体何を見ていたのだろう。
この素晴らしい自然は、彼の目にはどう見えていたのだろう。何色に見えていたのだろう。
 

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もしも今日が青空だったら、一体どれだけ美しかっただろう…
 
何百年も前の芸術家に、恋をしてしまったかのように色々な思いを馳せてしまいました。
 
平日の朝一番に、張り切りすぎて開館前に行ってしまい、特別に開けてもらったためずっと一人でした笑(寒空の中開館を待っている日本人女性は、かわいそうに映ったのかも…)
 
その分じっくりじっくり色々なものを見て、感じられるので、やはり「早起きは三文の得」。
 
万能の天才も見たであろう景色を見ながら、再びヴィンチ村に向かいました。